悲しみが足りない
人生で一番悲しかった時
あんなに嫌いだった奴
あんなに話さなかった奴
目も合わさなかった奴にでも
すがりたいと思った
この社会はある程度の病気は簡単に
治療できる社会で
長生きもできる国に住んでいて
自分を見失うほどの悲しい経験をする機会が
あまりにも少ないんだと思う
人はできるだけ悲しい経験を避けようとする
だから技術や医療は進歩する
でもそれは同時に人をも機械化させるのかもしれない
悲しみを知らない人間
戦争をしている国はきっと家族を大事に想い
守り合っていきている
今の私たちには戦争はなく平和だけど
家族の中での人殺し
友達を殺したり、ペットを殺したりする
私たちにはきっと悲しみが足りないんだ