パズル
私の妹は1000ピースのパズルを
あと数ピースというところで
全部崩してしまう
それを何度も何度も繰り返す
終わりたくない
完成を見たくない
数週間かけて作ったものを
壊してまたやり直す
時間を無駄にしたくない私は
本を読み返さないけれど
彼女は何度もパズルを完成させずに
壊してはやり直す
私も少し余裕を持って生きたい
2.0の世界
数年前にレーシックをして
視力が2.0になった
0.01が2.0になった
あまりに色々なものが鮮明に見えすぎる
星の多さに驚愕した
湯気は細かい水滴の集合体で
一粒一粒見える
空に届きそうなほどの高い木の葉が
一枚一枚風に揺らされている
自然があまりにも美しすぎる
レーシックをすると老眼も早く来るけれど
この美しさを私は見たかった
時間を犠牲にしてでもこの美しさを見たかった
他力本願
この世界は他力本願で成り立っている
食物連鎖もそうだ
インスタントのキムチ鍋を作っている時に
お水を200cc入れてから火にかけるようにと
作り方が書いてあった
実際200cc入れてみたら水が全然足りない
あとの水は付属の野菜からでてくる計算
インスタントのキムチ鍋
乾ききった野菜なのに
それでもこれだけ水分が出てくる
私たち人間は乾ききった野菜さえも信用する
そして野菜は乾ききっているにも関わらず
裏切らない
なんかみんな野菜に
生かされてるなぁとか
野菜の優しさに感動した
私が野菜なら水分なんて出さずに
200ccの水も火で蒸発しちゃって
消費者がクレーム出したら面白いなんて
考えちゃう
いじわる
どうかしたい
どうかしたい
君のいない朝
もうすぐで君はいなくなる
君のいない朝を迎える
一番ありえないと思っていたことが
現実になってしまうのだ
本の世界の悲しみとは違う
これは私の現実の悲しみで
それを迎えるのも乗り越えるのも私
ずっと君がいる当たり前の世界が
続けばいいのに
クリーン
この社会はあまりにもクリーンだ
少し汚いことをすれば暴かれ
すべて監視されている
一人一人に製造番号のような
正しくは個人番号なのだけど
私たちは数字で区別されている
一回でも汚いことをすればそこで終わり
這い上がる術もない
死ぬまでその汚れを背負わなければならない
どんなに心を入れ替えても
どんなに反省しても
その一回の過ちはどこまでも隣にいる
生きるってなんだろう
一回過ちを犯したら
もう生きてて何の意味があるのだろう
人の心って
他人の一回の過ちも
許せないようになったのかな
その残酷な一人が私でもある
安倍総理が過去に一度失敗した
アベノミクスで返り咲いたけど
私は今日まで一度も信用しなかった
どうせまた失敗すると
私も優しさのない現代人なんだな